ゆとりーとライン乗車ルポ

乗車日:2012年8月26日
区間:大曽根駅→小幡緑地(240円)・小幡緑地→高蔵寺駅(200円)
車両:GB-84号車(名古屋200か2589)・GB-14号車(名古屋200か1656)


今回はじめてガイドウェイバスに乗車してきたので、簡単なルポタージュとして紹介します。
撮影都合上、あまり車両が写った写真がないことをあらかじめご了承ください。



■ゆとりーとラインの概要

そもそも、ゆとりーとラインとは・・・。
一言で言えば「電車とバスの良いとこ取り」。2つのシステムを兼ね備えたようなものです。



郊外部は通常の路線バスとして一般道を走行。
ラッシュ時などに道路混雑が激しい都市部は専用の高架道路を走行することで速達性、定時性を確保できます。

ゆとりーとラインは大曽根駅〜小幡緑地間が専用高架道路になっていて、この区間は一般道の最高速度と同じ最高60km/hで走行することが可能。
高蔵寺駅〜小幡緑地間はPTPS(公共交通優先制御・バスが青信号で通過しやすくする制御方法)を用いており、一般道ながらできるだけ定時運行ができるようになっています。

渋滞する区間のみ高架化することで、全体として建設コストを削減することが可能。
また一般道の区間は将来の路線拡充にも対応できることから優れたシステムであると言えます。



専用高架道路はAGT(オートモーティッド・ガイドウェイ・トランジットの略。ゆりかもめなど)のそれと似ていて、路面の両側にガイドレールが取り付けられています。
そこを専用の案内輪を付けたバスで走行することにより、走行中はハンドル操作をすることなく安全に高速運行可能であるということが最大のメリットです。

イメージとしては、ミニ四駆やチョロQがローラーに従ってコースを走るようなものでしょうか。

この区間はトロリーバスと同じ無軌条電車扱いとなり、鉄道法に従って運行をします。
そのためドライバーは自動車、鉄道両方の運転免許を持っていることになります。

特徴的なのは、この区間ではハンドルを操作するとかえって危険であるためドライバーは膝の上に手を置いて足の操作のみでバスを動かすことになります。(現行の営業用車両は全てオートマティック)
また鉄道扱いのため基本的な指さし・歓呼を行う点も通常の路線バスとは異なる所です。



前述の通り高架道路上は原則60km/hで運行できますが、カーブ区間などには速度制限が設けられています。
この標識は通常の道路標識ではなく、鉄道で使用されているタイプが用いられていて興味深いところ。
もちろん写真右奥のように制限解除標識もあり、運転手もこれに合わせて歓呼を行います。




■大曽根駅

ゆとりーとラインの起点はJR中央本線、名鉄瀬戸線、市営名城線の乗り入れる大曽根駅。
JRの駅を出てすぐのところにゆとりーとラインのりばがあります。



写真:大曽根駅ホームより、転回場を望む

まずここ大曽根駅はゆとりーとラインの起点・終点であるので、車両の留置もできる転回場があります。
この部分はさすがに自由に走行できるように案内輪はなく、バスが転回できるだけの空き地になっています。

ホーム上に行き先(経由)別に番線が2本振られていて、行き先によって停止位置を振り分けています。
これは大曽根駅だけでなく、他の駅でも同じような構造が取られていました。


■小幡緑地

大曽根駅と高蔵寺駅の中間点(といっても大曽根寄り)に位置する小幡緑地。
高架道路の終点であり、一般道を走るためのモードチェンジを行う駅です。



写真:小幡緑地駅の外観


大曽根駅の写真を省略してしまいましたが、ゆとりーとライン高架部分の駅は概ねこのような外観です。
見た目はそれこそゆりかもめなどのAGTの駅舎とほぼ同じですが、大曽根駅以外は改札がないのでそのままホーム上に上がることが出来ます。(ただし大曽根駅改札口はラッシュ時のみ機能)



写真:小幡緑地駅ホーム

ホーム上は普通の鉄道駅と似たような構造になっています。
鉄道と同じく発車標も設けられていて、バスの接近情報も見ることが出来ます。

もちろん対面ホーム同士の連絡に際して道路上を横切ることはできず、もしも反対側のホームへ移動する際は一旦下のフロアへ降りる必要があります。


■モードチェンジ部



写真:モードチェンジ部分

車内からの見辛い写真で恐縮ですが、ここが一般道路からガイドウェイの切り替えを行うモードチェンジ部。
小幡緑地駅すぐのゆとりーとライン施設敷地内に設けられている施設です。

ガイドレール終端の部分にバーが設置されていて、案内輪の格納が終わると、または案内輪の準備が整ってからバーが開く仕組みとなっていて、モードチェンジを行わない状態での誤進入を防止しています。
残念ながら敷地外からは確認し辛い場所にあるため外からモードチェンジの様子は伺えませんが、乗っている限りは殆ど揺れもなく気付いたらモードチェンジ終了といった印象でした。



写真:小幡緑地駅への入り口(竜泉寺口交差点)

専用のガイドウェイ入口となる小幡緑地駅すぐの竜泉寺口交差点のようす。
ちょうどバスの後ろ、木の向こうにモードチェンジ部があります。

一見普通の交差点ですが、画像左右方向から画像奥方向への一般車右左折は禁止。
複数の看板で、一般車進入禁止である旨が書かれています。



写真:小幡緑地駅より先の一般道とバスレーン

ここから先の道、ゆとりーとラインは一般道(愛知県道15号)を走行します。
この道路の上り方向にはゆとりーとラインと一般市営バス用のバスレーンが設置されていて、画像一番手前のレーンのように道路に赤い着色がなされています。
概要で述べたように、PTPSとバスレーンによって一般道区間でも定時走行を確保していることがわかります。


■室内



写真:ガイドウェイバス(ブルーリボンシティ)の室内

ガイドウェイバスは全車両ツーステップ車で運行されているため、着席重視の2人掛け座席が並びます。
カーテン付きや背もたれの高い椅子など中京圏の路線バスとしては標準的な装備で、特にガイドウェイバスならではの装備は見られません。



唯一シートカバーには「ゆとりーとライン」の文字があり、専用車らしさを醸し出しています。




今回ガイドウェイバスに乗りに行ったのは8月の平日昼間でした。
高架区間も一般道区間も乗車率は良好で、ほぼ定時運行でした。

新交通システムとしては日本初採用となったガイドウェイバス。
採算性などが注目され、各社の撤退もありましたが市営バスが運営を続けている状況です。

料金体制や車両に関していくつか問題点が残りますが、利用者数や今後の運営について注目したい路線でした。

inserted by FC2 system